【JNFより】
ブルーベリーが高齢者の記憶力低下を改善
加齢に関連して記憶力に少し衰退がみられる高齢者に、記憶力を改善するブルーベリーの効果が示された。
米シンシナティ大学のロバート・クリコリアン氏らの研究結果が、米国化学学会誌「Journal of Agricultural and Food
Chemistry」
に掲載されている。
認知症の有病率は、高齢者人口の拡大に伴い増加傾向にある。現在、記憶低下に対する効果的な治療がないため予防策が
不可欠となっている。ブルーベリーはポリフェノール合成物(主にアントシアニン)を含んでおり、抗酸化作用と抗炎症効果がある。
さらに、アントシアニンは記憶に関連する脳中枢における神経信号を増やして、認知症につながる神経変性を防ぐ脳の糖処理を
改善させることが、動物実験で示されいる。
研究は、初期の記憶低下の症状を持つ9人の高齢者(平均76.2歳)を対象に、記憶力に対するブルーベリージュースの効果を
調査した。毎日グラス2杯ずつ、ブルーベリージュースを12週間飲んでもらった。研究の結果、12週間で対連合学習※(p = 0.009)
と単語リスト想起※(p = 0.04)が改善された。さらに抑鬱症状(p = 0.08)は減少し、血糖値(p = 0.10)は低下傾向にあった。
研究者は、プラセボ飲料(偽のブルーベリージュース)を飲んでもらい、記憶機能を比較した結果、ブルーベリーに記憶効果が
みられたと結論づけている。
この予備調査の結果は、長期的なブルーベリーサプリメントを摂取することが認知神経科学的に有益であり、認知症予防の可能性
および神経細胞(ニューロン)のメカニズムを研究するためにより包括的な人体試験の根拠を確立することができると示唆している。
※対連合学習・・・2つの言葉を対で記憶させ、1つの言葉を示し、もう1つの対になった言葉を思い出してもらう試験
※単語リスト想起・・・いくつかの単語のリストを示し、記憶してもらい、その後できるだけ多くの単語を思い出してもらう試験